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2009年8月 4日 (火)

経営承継法により事業承継の支援策が講じられています

 相続のときに困ることは自社株式の相続についてではないでしょうか。非上場企業の場合、後継者の方が会社の株式を相続されますが、その会社が良好な企業の場合、自社株の価額がかなりの金額となっており、相続税の負担で苦しめられることになります。

 同族企業の場合、株式を売却するといったことはしないので、会社を継続するために相続税の納付資金を工面しなければならず、後継者の方は苦労されていたのが現状でした。

 しかしながら、経営承継法という法律により、次の3つの支援策が講じられることになりました。

 ①民法の特例(遺留分に関する特例)

 ②金融支援

 ③相続税の課税についての措置(非上場株式等に係る相続税および贈与税の納税猶予制度の創設。)

 今回は①の民法の特例についてお知らせします。

 【民法の特例(遺留分に関する特例)】

 経営者の方は、後継者の方に自社の株式を生前に贈与していき、相続税の負担を少なくしていこうと考えられています。確かに、生前に贈与していけば、相続時に後継者の方が相続する自社株式が少なく済むため、節税対策にはなります。

 しかしながら、後継者の方に兄弟がいたら(被相続人の子供が複数人いたら)どうなるでしょうか?

 民法の規定では、遺留分の中に過去に贈与した株式も含まれているのです。(生前贈与財産の持ち戻しといいます。)そのため、相続財産のほかに生前贈与財産もこの遺留分の中に含まれてしまうため、結果として他の相続人の遺留分を侵しているときは、この相続人の訴えにより遺留分を侵している部分を取り戻すことができるのです。(遺留分減殺請求権)

 ここで問題となるのは、一般的には、円滑に事業を承継させるために後継者の方へ事業用資産と自社株式を相続させることとなります。この総額が遺留分を侵す可能性があり、事業を承継しない他の相続人により遺留分の減殺請求が行われると、事業承継が難しくなってしまうのです。

 そこで、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続き(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経ることを前提に、次の民法の特例の適用を受けることができるのです。

①生前贈与株式を遺留分の対象から除外する

 これにより、相続に伴う株式分散を未然に防止できます。

②生前贈与株式の評価額を予め固定する

 後継者の貢献分による株式価値上昇分が対象外となるため、経営意欲が阻害されません。

 ただし、この特例も問題がないわけではありません。前述のとおり、遺留分権利者全員の合意が必要なため、反対者が一人でもいると適用することができないのです。そのため、この規定を適用するためには、被相続人(先代の社長さん)が生前に中心となって取り決めをする必要があると思います。

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