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2010年3月 7日 (日)

個人年金保険の評価額の優遇が廃止されそうです。

 相続対策で個人年金保険に加入された方には、非常に困ったことになりそうです。それは今国会で次の税制改正が成立する見通しだからです。

 相続税および贈与税において、年金の受給権の評価が次のように変わります。

 【現行】

  受取期間で評価が変わります。

  5年以下・・・・・・・・・・・・・・・・70%  5年超10年以下・・・・・・・・・・60%

  10年超15年以下・・・・・・・・・50%  15年超25年以下・・・・・・・・・40%

  25年超35年以下・・・・・・・・・30%  35年超・・・・・・・・・・・・・・・・・20%

  ※例えば毎月10万円を30年間受け取る契約ならば、受給総額は3,600万円で、相続税の評価額は30%なので1,080万円となり、かなりの評価減となっていました。

 【改正案】

  相続・贈与時点での時価となります。

  ※時価なので、一時金でもらった金額となります。つまり、受給総額が3,600万円ならば評価額は3,600万円なのです。

 この改正案は3月中にも成立しそうなのですが、この場合既存の契約でも来年4月以降の相続や贈与が発生した場合には、現行の評価減が受けられず、時価評価となります。

 ①対象となる保険

  定額年金保険・変額年金保険・死亡保険を年金で受け取る収入保障保険など

 ②対策

  現在年金保険を加入されている方で、平成23年3月までに年金受給権が発生していない場合、そのまま持ち続けるしかないようです。なぜならば、年金保険の途中解約は手数料がかかったり、変額年金は現在では解約すると損が発生するケースが多いとのこと。

 そのため、事前の年金特約を外すことで、雑所得の税負担が軽い方式が適用されることとなるため、生保業界では今後契約者に通知をするのではないかと思います。

 ③年金保険のかけこみ加入は要注意!

 現在生保会社では駆け込みで年金保険を販売しているようですが、これには注意が必要です。この場合に多くみられる契約形態が、次の通りです。

 A)平成22年3月までに年金保険に加入して、数カ月から1年で年金受給権が始まるようにします。

 B)契約者を親(推定被相続人)、受取人を子(推定相続人)とします。

 C)この受給権が確定した年金を生前贈与することにより、来年3月までの相続・贈与に該当するため現行の評価減を受けることができるのです。

 D)受給権3,600万円(毎月10万円×30年)を贈与した場合、評価額が1,080万円となり、これの贈与税額が263万円となります。もしこの1,080万円を相続時精算課税制度を利用して贈与すれば、贈与税が0円で贈与ができるのです。

 上記の問題点は、まず贈与税が高いこと。相続税のような基礎控除額が高くなく、年110万円までしかないこと。しかも税率が高いため、かなりの負担となってしまいます。

 相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円まで贈与税がかかりませんが、相続のときに加算されます。しかもその後は年110万円の贈与税の基礎控除額が利用できません。

 ④結論

 もし駆け込みで加入される場合、リスクもあることを理解したうえで加入してください。

 私は現在お客様には年金保険を勧めていません。法改正が確定ではなく不確定要素があるためでもあり、相続時精算課税制度を利用することは、通常の贈与を利用した相続対策の道を自ら閉ざしてしまうからでもあるからなのです。

 (日本経済新聞平成22年3月7日版を参考とさせていただきました)

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