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2010年4月 2日 (金)

生前に相続放棄ができるでしょうか?

 相続放棄とは、財産より借金の方が多い等の理由により、相続することをしない手続きを言います。この相続放棄は相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄のための申述書を提出する必要があります。

 では、この相続放棄は被相続人の生前にできるのでしょうか?

 結論としては生前での相続放棄はできないのです。

   生前での相続放棄の話がありそうなケース

父親(70歳)と子供A40歳)の家族で、既に母親が他界しているとします。この父親が再婚して後妻B40歳)がいる場合。子供Aからすると、このままでは法定相続分の2分の1が後妻Bに相続されてしまいます。そこで、父親に対して遺言を書いてもらうことにしました。この遺言では自分(子供A)に有利なものとなっていましたが、遺言書は新しいものが常に有効とされるため、後に自分の知らないところで遺言書を書きなおされる可能性を危惧していました。

そこで、生前に相続放棄を後妻Bにしてもらおうと考えたのでした・・・・・。

仮定の話ですが、あり得ないことではありません。この相続放棄を生前に子供Aと後妻Bとの間で書面で交わしていたとしても、法的な相続放棄の効果がありません。しかし、遺留分の放棄は生前にすることができます

   遺留分の放棄について

 遺言書での相続でも、遺留分を侵していれば遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)を家庭裁判所に申し立てれば、遺留分についての相続が認められます。この遺留分については生前に放棄することができるのです。

 ただし、認められるためには次の条件が必要です。

ア)    放棄が本人の自由意思にもとづくものであるかどうか

イ)    放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか

ウ)    代償性があるかどうか(たとえば放棄と引きかえに現金をもらうなど)

 家庭裁判所では、上記の許可基準を設けて遺留分権者に対して面接を行います。そこで、この放棄が強制されたものでないことや、放棄をすることの不利益点等を確認します。

  この遺留分の放棄はかなりハードルが高いことがお分かりでしょうか?例えば、相続人である長男が親の面倒をずっと見てきて、それ以外の子供には生前贈与で、ある程度の資産を贈与している場合等は、相続人間でも納得できるのではないでしょうか。それに対して、相続人間の関係が悪い場合等は難しいのではないかと思われます。

 また、遺留分の放棄だけでは相続のときに法定相続となってしまうため、遺言書とセットにしなければなりません。つまり、遺言書での相続では遺留分を侵してしまうため、その遺留分を生前に放棄させることにより、遺言書通りの相続ができるのです。

   相続を争族としないために

 子供Aと後妻Bとの間では、父親が亡くなった時点で相続争いが行われることが火を見るより明らかではないでしょうか。もし子供Aが相続を上手くすすめようと考えるならば、全て相続しようとは考えず、相当程度の財産を生前に贈与させ、遺留分の放棄をお願いしましょう。そのあと、被相続人である父親に遺言書を書いてもらうのです。父親も後妻のことが心配でしょうから、生前に対策をとれて納得するのではないでしょうか。 

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