« 借入金の正しい返済順位(資金繰りが厳しい時の対応①) | トップページ | 書面添付について(税理士法第33条の2) »

2010年10月 7日 (木)

事業承継税制を利用して自社株の相続税を繰り延べましょう

 経営状況が良好な会社の悩みの一つに自社株式の高騰があげられるでしょう。毎年の利益の積み重ねが積もり積もってかなりの額となり、一株当たりの価額が高くなってしまうことがあります。これにより、贈与や相続の時に多額の税金を納めることになってしまいます。このため後継者の方が会社を引き継ぐにあたって多額の税負担が必要となり、事業承継に支障が発生していました。これを解消するために、非上場株式(自社株)を後継者の方が相続または贈与した場合に、一定の割合に対する相続税や贈与税を繰り延べる(免除ではありません。)ことができる税制があります。これを利用するためには注意点があるので、後述したいと思います。

1) 事業承継税制とは
 この制度は、中小企業の後継者が先代経営者からの贈与、相続または遺贈により取得した非上場株式(自社株式)に係る贈与税・相続税の一部を納税猶予する制度となっています。納税猶予される税額とは、発行済み株式(完全議決権株式)の3分の2に達するまでの部分で、後継者の方が既に持っている株式があればその3分の2に含みますが、その株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を、その後継者の死亡等の日まで猶予するものです。
例)1,200株発行済み・・・うち先代経営者1,000株保有、後継者200株保有
  先代経営者がお亡くなりになり、後継者の方が1,000株相続したとします。
  1,200株×3分の2=800株 → 800株-200株(後継者保有)=600株
  この600株に対する課税価格の80%を納税猶予します。
  残りの1,000株(相続)-600株(猶予対象)=400株に対する相続税は猶予の対象外です。
2) 事業承継税制を受けるにあたって
 事業承継税制を受けるためには贈与や相続の発生する前に「関東経済産業局長の確認」を取得していなければなりません。もし贈与や相続開始後に事業承継税制を適用したいと思っても、事前の確認を受けていなければ贈与税や相続税の納税猶予を受けられないので注意が必要です。
 ※この書類の作成及び提出は当事務所でできますので、担当者にご相談ください。

3) 関東経済産業局長の確認を受けた後、先代経営者の相続が発生した場合
 相続税の納税猶予制度を利用するために、「関東経済産業局長の認定」を取得する必要があります。この申請は相続開始から8か月以内に認定申請をする必要があります。
 その相続税の申告後5年間は継続して、事業継続要件に関する関東経済産業局長への年次報告等をする必要があります。

4) 納税猶予要件
 納税猶予要件とは、次の要件を指示します。そのため、その要件に該当しなくなった場合には、相続税を納付しなければなりません。しかも利子税付きで。
① 法定申告期限から5年間、経営承継相続人(後継者の方)が代表者であること。
② 法定申告期限から5年間、確認時の雇用の8割以上を維持していること。
③ 法定申告期限から5年間、相続後の相続株式を継続保有していること。

5) 免除される場合
 事業承継税制により納税猶予を受けた後継者の方が死亡した場合、会社が倒産した場合等は猶予税額が免除されます。

★実際に利用するかどうか分からない場合でも贈与や相続の発生する前に「関東経済産業局長の確認」を取得していなければならないので、事前に取得しておきましょう。

« 借入金の正しい返済順位(資金繰りが厳しい時の対応①) | トップページ | 書面添付について(税理士法第33条の2) »

相続税・贈与税」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 事業承継税制を利用して自社株の相続税を繰り延べましょう:

« 借入金の正しい返済順位(資金繰りが厳しい時の対応①) | トップページ | 書面添付について(税理士法第33条の2) »