カテゴリー「経済・政治・国際」の記事

2010年3月16日 (火)

時効と時効の援用について

 売掛金や貸付金などの金銭債権には時効があることをご存知ですか?一般的には個人間同士の債権債務については民法の10年が適用され、商行為としての債権債務ならば商法の5年が適用されます。しかしながら、この時効制度には次の面から注意する必要があります。

 債権者側(売掛金・貸付金)

 時効は毎年請求書を送付しただけでは中断されません。時効を中断するためには、差押・仮差押・仮処分・債務者の承認・訴訟の提起・支払督促などの手続きを取る必要がありますが、6か月しか延長はできないのです。またこの延長は一度きりとなっています。

 では、時効期日が到来したら債権債務がその時点で消滅するのでしょうか?答えはノーです。この場合、債務者側が時効の援用(えんよう)をして債務が存在していないことを、債権者側にアピールする必要があるのです。

 つまり、上記を踏まえると、債権者側は債務者側に時効の認識をさせない、時効の援用をさせないことが必要です。しかしながら、こうなる前に回収することをお勧めします。

 また回収をあきらめた場合、相手に対して内容証明を送り貸倒損失として処理をしましょう。相手側が倒産や破産、行方不明、取引停止後1年以上経過していない限りでは、内容証明を送り債権放棄の意思表示をしない限り貸倒として処理できないのです。なんとも理不尽ですよね。

 債務者側(買掛金・借入金)

 債務者の立場にいる人は、時効の援用を積極的に利用しましょう。この場合、口頭での援用は証拠が残らないため、裁判では不利となります。そこで、内容証明を債権者側に送付し、債務関係が消滅したことを知らせましょう。

(参考)主な消滅時効の期間

 飲食代、宿泊代 ・・・・・・・・・・・・・・・・・1年

 売掛金  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2年

 消費者金融からの借入 ・・・・・・・・・・・5年

 消滅時効が短いものは裁判での訴訟や和解を利用して権利を確定しましょう。これにより、時効が10年となるのでじっくりと回収していきましょう。

2009年5月26日 (火)

景気の波(景気循環)と現在の不景気の影響

現在の世界的な不景気はアメリカのサブプライム問題から始まっていると一般的には見られていますが、実はこれだけではないのです。景気には波があり、好景気と不景気は交互にきます。この景気の波が後退していた時期にこの問題が重なったため、世界恐慌の到来ではと言われているのです。では景気の波には何があるのでしょうか?

①景気の波とは

景気の波

原因

周期

キチン波

在庫の循環

3年前後(40ヶ月)

ジュグラー波

設備投資の更新

10年程度

クズネッツの波

住宅や工場施設の建替え

25年程度

コンドラチェフの波

技術革新のうねり

50年~60年

 上記のうち今回はコンドラチェフの波について注目したいと思います。

②過去のコンドラチェフの波

期間

長波の原因となった産業

第1波

1780年代~1840年代

紡績機・蒸気機関などの発明による産業革命

第2波

1840年代~1890年代

鉄道建設

第3波

1890年代~1940年代

重化学工業

第4波

1940年代~1990年代

電機・自動車・石油化学

第5波

1990年中頃~

IT化・エコエネルギー他

このコンドラチェフの波は大きなうねりで、50年から60年程度での周期となっています。例えば、第二次世界大戦終戦(1945年)後、主要エネルギーが石炭から石油に変わりました。これにより、石油化学工業が盛んとなり、自動車産業が発展しました。しかしながら、この大きなうねりが現在は第4波から第5波への転換期となっていて、景気の下降局面をもたらしているのです。この次の長波への転換期には必ず次の新技術やエネルギー等が現れます。そのため、石油をエネルギーとして使用する自動車が売れていないのも、ただ単に不景気だけと言えないのがこのコンドラチェフの波を考えると当てはまるのではないでしょうか。また、このコンドラチェフの波は戦争・革命等が影響であるという考えもあるそうです。

 ③在庫調整が平成216月に一巡するのではとの報道発表から

大手企業について、在庫の調整が平成216月に目処が立ったと日経新聞に記載がありました。つまり、キチン波での谷(不況の底)が6月でその後は回復するのではないかと考えられます。しかしながら、短期波動(周期が短い)よりも長期波動(周期が長い)の転換期となっているので、大きな回復はしばらくは難しいのではないでしょうか。

④もうひとつの波

実は景気の波にはもう一つあるのではないかと言われています。これは100年周期で到来するヘゲモニーサイクル(覇権の波)と言われているものです。現在の覇権国家はアメリカですが、その前はどこだったでしょうか?実は産業革命を成し遂げたイギリスだったのです。この覇権国家が100年周期で変わることにより景気も大きく影響するのではというのがこのヘゲモニーサイクルですが、アメリカの衰退がこのことを暗示しているのかどうかは現時点において不明です。次の覇権国家はどこでしょうか?やはり、あの国なのでしょうか?