カテゴリー「法人税」の記事

2013年6月17日 (月)

当事務所のお客様が意見聴取で税務調査省略となりました

 当事務所のお客様である法人に対して税務署からの意見聴取があり、税理士である私が税務署に赴き、内容についての説明をしたところ問題がないとのことで、調査省略通知を頂きました。

 意見聴取とは税理士法第33条の2第1項に規定する書面添付を決算書に添付して提出した場合のみ、いきなりの税務調査ではなく意見聴取となります。(現金調査等を除く。)その際顧問税理士が税務署に赴き、書面添付に記載されている事項等についての質問を受けます。これに対して税理士が回答し、疑義が晴れなければ実地調査へ移行し、問題がなければ調査省略となります。

 つまり、税理士にとっては決算内容が問題なくしっかり作成されていますよといったお墨付きを受けることになるので、税理士としては調査省略通知を受けることは本当にうれしいことなのです。またお客様にとって、税務調査の煩わしさや不安から解放されるのではないでしょうか。

 当事務所のお客様で毎月巡回監査をさせていただいている企業については、すべてこの書面添付をつけております。この書面添付は税理士しか作成することができないものです。しかしながら全国でもまだ8%くらいしか添付されていないのが現状です。

 なぜこのような素晴らしい書面添付を作成し、提出しないかについてですが、税務調査が税理士事務所にとって収入となり、わざわざ売り上げを減らすものをつけるのはどうかといった意見を聞いたことがあります。これではお客様のためではなく事務所のことしか考えない非常に残念なことです。このような考えの方が少数であることを祈りますが。

 国税通則法が改正され、昨年以上に税務調査の手続きが煩雑された現状では、税務調査官としてはこの書面添付を有効に利用して、真に調査すべき企業に注力できるといった側面があり、税務当局側も積極的に推し進めている制度なのです。

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2013年5月 2日 (木)

商業・サービス業の設備投資を応援する税制措置ができました

 商業、サービス業の設備投資を応援する特別な税制措置ができました。
この制度を使うと、設備を使い始めた年度の減価償却を増やす(30%特別償却)か、税額の控除(7%)を受けることができ、その結果納税額が少なくなります。

税制措置の対象者
 青色申告書を提出する下記に該当する中小企業者、個人事業者が対象となります。
①常時使用する従業員が1000人以下の個人事業者
②資本金又は出資金の額が1億円以下の法人(資本金1億円超の大規模法人の子会社を除く)
③従業員が1000人以下の資本を有しない法人
④中小企業に準ずる法人(例:商工組合、農協等)

対象となる事業
 卸売業、小売業、情報通信業、自動車運送業、損害保険代理業、不動産業、広告業、
飲食店業、洗濯・利用・美容・浴場業、社会保険・社会福祉・介護事業、自動車整備業、
機械修理業、農業、林業、漁業、その他サービス業 等。

対象設備
 建物付属設備で取得価格が60万以上のもの
 器具及び備品で、一台あたりの取得価格が30万円以上のもの
  対象設備の具体例は裏面に記載しています。※中古品は対象外となります。

対象期間
 平成25年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に対象設備を取得等し、指定事業の用に供することが必要です。

適用の要件 
経営革新等支援機関等からの経営改善に関する指導及び助言を受けていること
②「指導及び助言を受けたことを明らかにする書類」に税制措置を受けようとする設備が記載されていること
③「指導及び助言を受けたことを明らかに知る書類」に記載された設備を実際に取得して、事業の用に供すること

当事務所は、経営革新等支援機関に認定されています。  

 設備投資をお考えの方、この制度について詳しくお聞きしたい方はお気軽にご相談ください。

藤谷英明税理士事務所

千葉県木更津市衹園11810 越川ビル2B

   ℡:0438-30-9170

   減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1に記載の主な対象設備

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2012年11月25日 (日)

税理士法33条の2書面添付が税務調査を少なくします

 税務調査に対して皆様はどのようにお考えでしょうか?たぶんできれば来てもらいたくないものではないでしょうか。「ある企業は税務調査が3年に1度来るみたいですけど・・・。うちはいつ来るの?」といったご相談はよくあります。ですが、そういう企業はまれでよほど目を付けられた企業ではないでしょうか。

 ①現在の税務調査の状況

 現在での法人の税務調査の状況ですが、法人は10年に一度、個人は100年に一度来るか来ないかといった状況です。今年、国税通則法(税務調査の根拠法)が改正となり、来年41日以降の税務調査については税務署側での手続きがかなり煩雑となるため、現在の調査率の約7割ぐらいになるのではないかと言われています。

 

②書面添付を決算書に付けていると税務調査がどうなるか

 当事務所の決算書の約8割に付けている税理士法第33条の2の書面添付(以下「書面添付」)についてですが、これを付けているといきなりの税務調査が無くなります。(現金調査を除く。)税務署からの意見聴取となり、私達税理士が税務署に行き、書面添付についての質問に対して回答をします。これで問題が無ければ調査省略となります。

 

③書面添付の状況

 書面添付は全国でも約7%しか付けられておらず、これからの制度ですが、税理士しか付けることができない決算についてのお墨付きなわけです。これを税務当局側では重視しており、実際書面添付が付けられている企業の税務調査はかなり低いのが現状です。木更津署管轄の状況ですが、法人の申告件数が約5千社で書面添付が付けられている企業数が約350社です。意見聴取件数が17件でうち調査省略数が13社となっています。つまり書面添付を付けられている企業の実調率がかなり低くなっていることがお分かりでしょうか。

 

④今後の書面添付企業について

 ある元調査官から聞いた話ですが、税務調査対象企業の選別に当たって書面添付企業は後回しにするそうです。それ以外の企業の方がいきなり税務調査を行うことができるためとのことらしいです。ただ統括官は書面添付に対する意見聴取ノルマがあるみたいで、書面添付が提出されていれば税務調査が無いというわけではありませんが、意見聴取という形となります。

 来年から国税通則法が改正となり、ますます実調率が下がる中、税務署としては税理士のお墨付きである書面添付がより一層重要となってくるのは確かです。

2012年10月22日 (月)

太陽光発電を利用した節税対策

 法人又は個人で下記の条件を満たしていれば、グリーン投資減税により取得価額の全額を償却(100%償却、即時償却)できます。

10kw以上の太陽光発電設備を取得すること

平成25331日までに買取制度の認定を受けていること

青色申告をしている法人又は個人であること

 これによれば例えば500万円で10kwの太陽光発電設備を設置し、平成25331日までに買い取り制度の認定を受ければ、500万円全額がその期の費用として100%計上できるのです。

 実効税率が35%とすれば、500万円のうち175万円が節税効果により減額し、325万円で取得することができます。また10kw以上のため、1kwあたり42円の買取価格が20年間固定されます。20年間安定収入があるということで、企業にとってはメリットがあるのではないでしょうか?

 現在申請して認定を受けられるまで約2か月以上かかるそうなので、年内に契約しないとグリーン投資減税による即時償却(100%償却)はできなくなるのでご注意を!

10kw以上と考えると大規模なものと考えがちですが、私の家の屋根に乗っている太陽光発電設備は4.8kwの発電力のため、アパートや社屋ならば乗せることはできるので、是非ご検討してみてください。

2011年9月13日 (火)

雇用促進税制が創設されました

 これから従業員を増やしていきたいという企業には朗報です。「雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」が創設され、これにより条件に該当する企業については、当該事業年度の法人税額から、増加した雇用保険一般被保険者の数に20万円を乗じた金額(当期の法人税額の10%(中小企業者は20%)を限度)が控除することができるようになりました。

1)対象法人

 青色申告法人でハローワークに当該事業年度開始2カ月以内に「雇用促進計画」の届出をした法人。
 ※ 平成23年4月1日から8月31日までの間に事業年度を開始する事業主の場合は、10月31日までに届ければよいことになっています。

2)対象要件

 ①雇用保険の一般被保険者(雇用者という)の基準雇用者数が2人以上増加(中小企業の場合)し、かつ基準雇用者割合が10%以上増加していること。
  (例)中小企業の場合

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 ②前事業年度及び当該事業年度中に、事業主である法人の自己都合による離職者がいないこと。
 ③当該事業年度における雇用者に係る「給与等支給額」が前事業年度より、以下の算定額以上に増加していること。
   【算式】給与増加額≧前事業年度の給与等支給額×基準雇用者割合×30%

3)税額控除額

 増加した雇用保険一般被保険者の数(基準雇用者数)×20万円
  ※ただし、法人税額の20%を限度(中小企業者)とします。

4)適用期間

 平成23年4月1日~平成26年3月31日の間に開始する各事業年度
  ※ただし、設立事業年度等を除きます。

 利用したい場合には事業年度開始後2カ月以内にハローワークへの届出が必要なので、ご注意を。

ブログ雑学大王 http://fujitani.cocolog-nifty.com/zatsugakudaiou/
藤谷英明税理士事務所

2010年8月 9日 (月)

グループ法人税制が創設されました(第2回)

 グループ法人税制が適用される企業に対して、法人税制上どのような規定が適用されるのでしょうか?

(1) 主なグループ法人税制の範囲と適用時期
【平成22年10月1日以後の取引から適用】
① 完全支配関係がある法人間の資産の譲渡取引
グループ法人間での資産の譲渡取引(譲渡直前帳簿価額が1,000万円以上に限る)があった場合、簿価と売価との差額を繰り延べます。つまり、その譲渡時には譲渡益又は譲渡損を認識しないということです。
② 完全支配関係がある法人間の寄付金/受贈益の取扱い
 グループ法人間で寄付金の支払いがあった場合には、支払法人において全額損金不算入とし、受領法人においては受贈益が全額益金不算入とされました。これは低額譲渡や無償譲渡での時価と譲渡価額との差額についても同じです。

【平成22年4月1日以後開始事業年度から適用】
③ 完全支配関係がある法人間の受取配当等の益金不算入
 グループ親法人がグループ子法人から受け取った配当金は全額益金不算入となりました。
④ 中小企業向け特例措置の大法人の100%子法人に対する不適用
 自社の資本金が1億円以下ならば、通常次に掲げる中小企業特例が適用されますが、直列の資本関係で親法人の資本金が5億円以上のいわゆる大法人による完全支配関係がある中小法人に対しては適用されなくなりました。
(主な中小企業特例)
・軽減税率・・・800万円以下の所得に対して18%、800万円超30% ⇒ 全額30%
・特定同族会社の特別税率の不適用 ⇒ 適用
・貸倒引当金の法定繰入率 ⇒ 貸倒実績率
・交際費等の600万円まで10%否認 ⇒ 全額否認
・欠損金の繰戻し還付制度 ⇒ 不適用
※なぜ適用されなくなるのかですが、「大法人により支配されている企業はそれだけ保護されているため、中小企業特例を適用する必要が無いのでは。」という理由からです。

(2)「100%支配グループ法人に関する情報」の提出義務
   実はこれが大変で、決算書の添付資料に「会社事業概況書」があるのですが、これに当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を添付しなければならないのです。
   例えば家族だけで法人を2社持っていれば、その法人はグループ法人税制の適用企業となり、上記の図を会社事業概況書に添付しなければならないのです。
意外と適用が無さそうで、実は適用となっていたとなりそうなのがこのグループ法人税制の特徴です。そのため、適用になるかどうか不明な場合には当事務所担当者にご相談ください。

※完全支配関係とは一の者が法人の発行済株式等の全部(100%)を直接若しくは間接に保有する関係及び一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいいます。

2010年7月 5日 (月)

グループ法人税制が創設されました(第1回)

 平成22年度の法人税制の改正点において、最も注目すべきものはグループ法人税制となります。これは対象法人となれば強制適用のため、注意が必要です。特に同族間で2社以上の法人を持っている企業は対象となります。

① グループ法人税制とは
グループ法人税制とは、一の者(法人・外国法人・個人)と100%資本関係がある複数の法人を、一つのグループとみなして、そのグループ間で行われた取引をあたかも法人の内部取引のように捉え、そこで生じた利益または損失を繰り延べて、その取引時点では認識しないようにするもの等です。

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①の場合一の者と法人間の取引、
②の場合一の者とA法人及びB法人との3者間の取引がグループ法人税制の対象となります

② 一の者が個人の場合
 一の者が個人の場合、その本人と次の関係にある者も含みます。
 ア)その者の配偶者及び6親等内の血族、3親等内の姻族
 イ)その者の内縁関係者・これと生計を一にしている親族
 ウ)その者の使用人・これと生計を一にしている親族
 エ)その者の金銭等により生計を維持している者・これと生計を一にしている親族

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 上記の図では同族会社アと同族会社イはグループ法人税制が強制適用されます。そのため、家族だけで2社以上持っていれば、その法人に対してグループ法人税制が適用されるかどうかは理解できますが、会ったこともない親戚が同族会社を持っていれば、その会社ともグループ法人税制が適用されてしまうのです。

③ 100%支配関係のみです。
 例えば、1%でも他人が入っていればグループ法人税制の対象とはならないのです。

2010年6月14日 (月)

グループ法人税制について(対象となる法人)

 今回の改正で一番大きなものはこのグループ法人税制です。このグループ法人税制は対象法人となれば、連結納税制度と違い強制適用となります。(連結納税制度は選択適用です。)そのため、対象となる企業が多くなることが予想されますので、自社や会計事務所の場合関与先が対象となるかをあらかじめ調べておく必要があります。

①対象となる法人

  グループの頂点となる一の者が内国法人(連結親法人含む)、外国法人又は個人である場合、その一の者と直接若しくは間接に100%支配関係がある法人が対象となります。この場合次の関係を言います。

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②一の者が個人の場合

 一の者が個人の場合、その者と次の関係にある者を頂点として100%支配関係がある法人同士の関係を含みます。

 ア)その者の親族

 イ)その者と特殊関係にある者及びこれらと生計を一にする者

 ウ)その者の使用人及びこれらと生計を一にする者

 エ)その者から生活資金をもらっているもの

 そのため、見知らぬ従兄弟が100%支配関係がある法人を持っていれば、その法人と自己の100%支配関係法人に対してグループ法人税制が適用される可能性もあるのです。

2010年1月 6日 (水)

平成22年度税制改正大綱について

税制改正の大綱が平成21年の12月末にようやくまとまり、これから国会の審議を経ることとなりますが、今回の税制の改正点について大きなものをお知らせいたします。今後の動向によって変更となる可能性がある点についてはご了承ください。

【法人課税】

     いわゆる「一人オーナー会社課税制度」(特殊支配同族会社における業務主催役員給与の損金不算入制度)が廃止されることになりそうです。この規定は、一定の同族会社のオーナー役員に支給する給与で、一定の条件に該当する場合には、その給与に係る給与所得控除額相当額を法人の損金に算入しないという制度で、かなりの悪法と言えるものでした。これは政府案の段階では存続だったようですが、税理士会からの要望に民主党が応える形で、最終的には廃止となるようです。

   本制度は、平成2241日以後に終了する事業年度から適用されないこととなります。

    適用期限の延長

 ・中小法人に係る交際費等の損金算入の特例を2年延長

【個人所得課税】

子供手当の支給と高校の実質無償化に伴い、扶養控除が下記の通りになります。

    15歳以下の年少扶養親族に対する控除(38万円)の廃止

    1618歳までの特定扶養親族に対する控除額を63万円から38万円へ

 【贈与税】

     直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、500万円から大幅に引き上げられます。

(イ)  平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者・・・1,500万円(非課税限度額)

(ロ)  平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者・・・1,000万円(非課税限度額)

(ハ)  上記には所得制限(2,000万円)があります。

※この非課税限度額の適用は自分の親若しくは祖父母からの住宅を取得するための現金での贈与に限ります。つまり、土地建物等のものでの贈与では適用できないことに注意が必要です。

  ②  住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除額の上乗せ(1,000万円)の特例が廃止されます。つまり、2,500万円までの相続時精算課税制度しか利用できないということになりました。

 【たばこ税】

   1本あたり3.5円の税率引き上げにより、1本あたりの価格上昇分が5円程度となります。そのため、国産たばこ(例マイルドセブン)は400円くらいとなるようです。これは平成22101日からの適用となります。

2009年6月 8日 (月)

平成21年・22年に土地等を先行取得した場合の課税の特例

 法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内の土地等(棚卸資産を除く)を取得し、かつ、原則として取得年度の確定申告書の提出期限までに、その「先行取得土地等の届出書」を提出し、その取得事業年度終了の日後10年以内に、その法人の他の土地等(先行取得土地等ではない)を譲渡したときは、その先行取得土地等について、他の土地等の譲渡利益金額の80%(平成22年中のもののみである場合60%)を圧縮記帳により損金参入できます。

 この規定は個人事業者の所得税についても同様の規定の適用があります。

①これって誰が利用するのだろう?

 この規定を適用するためには、取得した事業年度の申告書提出期限までに届出書を出さなければならないため、取得事業年度終了の日後10年以内に既に持っている土地を売る計画がある人で、不動産業者以外の人のための規定です。棚卸資産である土地とは販売目的の土地のことであるため、これにより不動産業者の販売目的の土地は不可なのです。

②買換えの圧縮記帳のようなものです

 土地の買換えを促進するためのものです。なぜならば、取得した土地等の譲渡益に対してでなくて、既に所有していた土地等の譲渡利益金額の80%を先行取得した土地等に対して圧縮記帳により損金参入ができるのです。そのためこの規定は、投機目的の土地売買に対するものではないことがわかります。