カテゴリー「所得税」の記事

2012年2月22日 (水)

住宅ローン控除の注意点

 確定申告がすでに始まっていますが、平成23年に住宅を建築され、入居された方は今回確定申告をする必要があります。その際に注意すべき点をお知らせします。

①住宅の取得対価に含まれるもの

 ・本体価格(請負書) ・変更工事価格(変更請負書)

 ※住宅の請負と一緒に契約した場合に含まれるもの

 ・外構工事価格(外構工事請負書) ・太陽光発電 ・植栽 エアコン等の電気機器 ・その他本体価格の1割程度以下のもの(僅少工事)

②建築条件付きや一定期間内に土地を取得し、その後家屋を建築した場合には土地の取得対価も対象になります。その際の土地の取得対価に含まれるもの

 ・土地価格 ・土地の上に旧家屋があり取り壊して建築する際の費用

③上記の取得対価に含まれないもの

 ・いわゆる諸費用(登記費用、火災保険、印紙代他)

付表の1 「補助金等の交付を受ける場合又は住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合の取得対価の額等の計算明細書」を作成しなければならない方

 平成23年6月30日以後に契約をされた方は、取得した補助金(太陽光発電補助金、エコポイント、各市町村からの住宅取得奨励金、その他各種補助金)を取得価格から控除しなければなりません。

 住宅取得資金の贈与の非課税(1,000万円)又は住宅取得資金の相続時精算課税制度(2,500万円)を適用された方はその贈与を受けた金額を取得価格から控除しなければなりません。この方は別に贈与税の申告が必要です。

 確定申告を3月15日までに申告し忘れた方でも、確定申告を提出してなければ、5年以内でしたら申告できるので還付申告をすることになります。ただ、早く還付をすれば早く戻ってくるので、2月以内の申告をお勧めいたします。

 また、住宅取得資金の贈与を受けた方は、非課税の範囲内だからと言って申告をしなければ1,000万円控除を利用できなくなり、基礎控除額の110万円が適用されてしまい、贈与税が発生してしまいますので、必ずお忘れなく申告してください。住宅取得資金の非課税の特例は申告をした方のみに認められている規定となっています。

2011年3月16日 (水)

風邪薬は医療費控除となるでしょうか?

  医療費控除を受けるためには1年間の医療費が10万円か所得の5%のどちらか低い金額を上回っていれば所得控除を受けられますが、この医療費控除について悩むポイントについて考えてみましょう。

(1)医療費控除になる?ならない?

   薬局で買った風邪薬・・・なります治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価だからです。)

 上記の理由から風邪を治すため、腹痛を治すため、怪我の手当てをするためなどから市販の「医薬品」を買っても医療費控除の対象となります。

   マッサージ代やハリ代・・・条件を満たせばなります

 条件とは、法律に基づく、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師に対するもので、治療に基づくもの(健康増進のためはダメ)であることです。

   何十万円もするインプラント治療・・・なります

 歯の治療として一般に行われていることならば、医療費控除の対象になります。つまり、金額で判断するのではなく、その治療法が一般的かどうかです。ですから、金歯や金冠は健康保険がきかないので高くなりますが、一般に広く行われているので控除の対象となるのです。

   小学生の歯列矯正費用・・・なります

 子供のうちの歯列矯正は永久歯の歯並びを矯正して、成長を阻害しないためのものなので、控除の対象となります。しかし、大きくなってからの歯列矯正は、いわゆる美容整形のために行ったものとみられるため、控除の対象外となってしまいます。ただ、日常生活に特に支障がある場合の歯列矯正は控除の対象となるので、ケースバイケースといったところでしょうか。

   差額ベッド代・・・原則なりません

 差額ベッド代は医療費控除の対象とはなりません。ですが、医師の指示によって個室に入院した場合には控除の対象となります。判断のポイントは医師の指示があるかないかです。

   介護保険の施設サービスを利用する場合の自己負担金・・・2分の1がなります

 指定介護老人福祉施設で介護等の施設サービスを受けた場合、介護に要する費用の1割と食費と居住費を負担しなければなりませんが、その自己負担額の2分の1に限って医療費控除の対象とすることができます。

(2)生計を一にしていれば家族全員の医療費をまとめて一人の人から控除できます。

 家族一人一人で見ればとても年間控除の足きり額以上とはならなくても、生計を一にしていればまとめて一番税金を払っている人の医療費控除として利用することができます。

 例えば、子供や親が一人暮らしをしていても、仕送りを送っている状態ならば、生計を一にしていることになります。

  医療費控除のイメージは、健康保険の対象となる治療や医者の処方箋に基づいた薬しか対象にならないのではとの誤解があるようですが、治療のためならば控除できるのです。ですから、これは対象にならないだろうと判断して領収書を捨ててしまったら、損をしてしまうことになりかねないのです。

 やはり専門家である税理士にご相談してみたらよいと思います。

藤谷英明税理士事務所

地震の影響による確定申告期限延長申請ができます。

 15日まで国税庁の電話相談センターで確定申告についての電話相談を受けてきましたが、その中で最も多かったのが「15日まで間に合わない場合どうしたらよいでしょうか?」といった質問でした。その回答が下記となります。

 青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県にお住まいの方は申告期限が自動的に延長されます。

 関東地方にお住まいの方は次の理由により、災害による申告期限延長申請書の提出を行うか、申告書の余白に「災害により期限内に申告することができないので、提出期限の延長をお願いします。」と書いて提出することで、期限延長をすることができます。

 ①理由として、交通手段・通信手段の遮断、計画停電により期限内に提出できない。

 ②地震により経理等の資料が入っていたパソコンが故障してしまった等。

 ③その他

 詳しくは下記の国税庁ホームページで確認ください。

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/kigenencho.pdf

 ちなみに、この延長申請は状況が落ち着いた後で、申請書だけ先に提出しても、申告書と一緒に提出してもどちらでも構いません。

 どのくらいの期間延長されるかは、現在の状況が回復する期間にもよります。

2009年6月14日 (日)

新しい住宅ローン控除制度について

平成21年1月1日から適用となる住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除制度(住宅ローン控除)の改正点についてお知らせいたします。

★改正ポイント

①住宅借入金等の年末残高の限度額が2,000万円から5,000万円まで増加しました。

居住年

控除期間

住宅借入金等の年末残高の限度額

控除率

平成20年

10年間

2,000万円

1~ 6年目 1.0%

7~10年目 0.5%

平成21年

10年間

5,000万円

1.0%

平成22年

10年間

5,000万円

1.0%

平成23年

10年間

4,000万円

1.0%

平成24年

10年間

3,000万円

1.0%

平成25年

10年間

2,000万円

1.0%

住宅を取得する方が借入をする場合、借入金が2,000万円~4,000万円くらいが一般的ではないでしょうか。この場合控除額が最大20万円~40万円となります。(平成21年居住の場合)

②認定長期優良住宅の取得者は借入金の年末残高の限度額5,000万円、控除率が1.2%(平成21年~23年取得の場合)となります。

ただし、この適用を受けるには認定を受けなければなりません。また、この規定の基となる長期優良住宅普及促進法が平成20年12月5日に公布され、6月以内に施行されることとなっていますが、同法の施行日から平成23年12月31日までに取得をして居住(新築等の日から6月以内に居住が条件)しなければならないこととなっています。そのため、もしこの適用を受けたいのであれば、新築等する住宅が耐久性・耐震性・省エネ性等適用要件に該当するかどうか及び該当するのであれば、居住の日が法施行日以後となれるのか注意する必要があります。

③住民税からも控除できるようになりました。

平成21年から25年居住の場合、所得税から控除できない金額を住民税から控除することができるようになります。

(参考)平成20年の居住者については、所得税より住宅ローン控除額の方が多くても住民税から控除することはできませんでした。そのため、下記の税源移譲対応特例を適用することができますが、最初の確定申告で本則か特例のどちらを選択するかを決めなければなりませんでした。

適用年

1~6年目

7~10年目

11~15年目

最高控除額計

本則

控除率

1.0%

0.5%

160万円

最高控除額

20万円

10万円

特例

控除率

0.6%

0.4%

160万円

最高控除額

12万円

8万円

④発生した所得税(住民税)だけが控除の対象となります。

新聞等では最高50万円(60万円)の所得税額控除と書かれており、これにより50万円戻ってくるのではとの誤解もあるようですが、あくまでも発生した所得税(住民税)が限度です。つまり、この制度を適用する前に税金が発生していなければ還付されないのです。平成20年の源泉徴収票を見てみればいくら税金が年末調整で還付されるかわかると思います。